我が国をはじめとする高齢化社会では、2人に1人が「がん」に罹ります(参考資料1)。血液腫瘍(血液のがん)の方も毎年増えており、その正確な診断と治療は極めて重要です。
血液腫瘍の中では急性白血病が有名ですが、最近では、著名な歌舞伎役者の方が罹られたことによって、骨髄異形成症候群 (myelodysplastic
syndromes, MDS)の名も広く知られつつあります。私は都内の大学病院において、長らく血液腫瘍の研究に従事し、特に骨髄異形成症候群 (MDS)の研究に力を入れてきました。骨髄異形成症候群
(MDS)は、病型が複雑で診断が難しく、予後の予測も困難です。治療法もさまざまです。
私の研究成果は、骨髄異形成症候群 (MDS)の正確な診断や、経過を推測する上で重要であり、国際的な診療ガイドラインなどに数多く採用されています(参考資料2,3)。大学では2006年から血液内科の教授職を務めてきましたが、大学組織の中で十分な治療・研究を行うことに困難を覚え、2013年独立した研究機関として東京血液疾患研究所を設立し研究を続けて参りました。研究所では、骨髄異形成症候群
(MDS)や急性白血病などを中心に血液腫瘍の研究を行い、MDSの新しい検査方法の開発などの成果を上げて参りました。
2016年、多くの患者さんやJapan MDS Patient Support Group の要請と支援を受けて、世田谷区経堂に血液疾患に特化した東京血液疾患診療所を設立し、日本全国から私の治療を受けたいといらした患者さんの治療に力を注いで参りました。
2018年10月に医療法人を設立し、頼ってこられる患者さんの治療にさらに力をいれると伴に、今後は後進の育成と分院の展開にも力を注ぎたいと考えております。
血液疾患の患者さんの助けとなれるよう、スタッフともどもさらなる精進をしていく所存です。
皆様の御理解と御支持をお願いいたします。
参考資料
1. 国立がん研究センターがん統計:http://ganjoho.jp/public/statistics/pub/statistics01.html
2.Peter Valentら。Definitions and standards in the diagnosis and treatment
of the myelodysplastic syndromes: Consensus statements and report from
a working conference.Leukemia Research 31, 727-736, 2007
3.Theresia M. Westersら。Standardization of flow cytometry in myelodysplastic
syndromes:a report from an international consortium and the European LeukemiaNet
working group.Leukemia 26, 1730-41, 2012
主な履歴 福岡県北九州市出身 日本医科大学医学部卒業 1981年日本医科大学付属病院第三内科入局、 日本医科大学第1生化学教室助手 を経て、 1992年より 講師 1999年より助教授 2006年より日本医科大学血液内科学教授 (~2013年) 2013年より 一般社団法人東京血液疾患研究所 所長(~現在) 新百合ヶ丘総合病院 血液内科部長(~2016年) 2016年より 東京血液疾患診療所 院長 2018年10月 医療法人社団 英継会 を設立、理事長に就任(~現在) |
その他 1987年 学位授与(医学博士) 1989年—1990年: 日米癌研究訓練計画による交換留学生として、 米国Hipple Cancer Research Center, Cytokine Laboratoryに留学 1998年—2001年: 第三内科病棟医長 2010年—2013年3月31日: 日本医科大学付属病院輸血部部長 2012年—2013年3月31日: 明治薬科大学 大学院薬学研究科生命創薬科学博士課程 客員教授 2012年—2013年3月31日: 日本医科大学国際交流センター副センター長 |
資格 血液専門医(日本血液学会)、血液指導医 、 総合内科専門医(日本内科学会) ACP (米国内科学会専門医) 日本血液学会評議員 国際MDS財団認定Center of Excellence (COE)代表 現在の所属学会名 日本内科学会、日本血液学会、日本輸血・細胞治療学会、米国内科学会、米国血液学会 |
社 会 貢 献 1.公的機関に関連した活動 The French National Institute of Cancer (INCa) - Hospital Clinical Research Programme (PHRC) 2010 審査員 2.その他 2004年-現在:MDS財団認定Centers of Excellence 代表 2007年-現在:米国内科学会日本支部の学生アドバイザー (主な活動は、内科を志す学生のモチベーションを高めるための情報提供や、学会発表に関するアドバイスなど。) 2009年-2017年:骨髄異形成症候群連絡会(MDS患者会)顧問 (主な活動は公開講座での講演や、会報誌への寄稿。) 2013年-現在:国際MDS財団公認 Japan MDS Patient Support Group顧問 (主な活動はLiving with MDS Forumでの講演) 2015年より Leukemia Researchの Editorial Board Member(~2018年) Blood(米国血液学会機関誌), Haematologica(欧州血液学会機関誌)など 多数の学術雑誌の論文評価者(reviewer)を長年務めています。 |
2019年オランダ Nijmegenにて![]() |
2018年ドイツ ミュンヘンのMLLで開催されたELN 3年ぶりですね。 ![]() |
2017年 スウェーデン ルンドにて![]() |
2016年ウィーン医科大学で開催された第2回MDSウィーン会議 世界中から著名なMDSの研究者が招待され、今後のMDS研究について話し合いました。 Asiaから招待されたのは緒方先生だけでした。 ![]() |
現代血液腫瘍学の創始者と言っても過言ではないジョン・ベネット先生と奥様のキャロルさん、 NIHの血液学研究所の所長であるラウル・ブレイラン先生と研究員のアリーナさんと ワシントンで2015年に開催されたMDS国際シンポジウムのガラパーティーにて ![]() |
Ogata Protocolの共同研究者であるヨーロピアン・リューケミア・ネット(ELN)の面々と 2013年ドイツのミュンヘンにて ![]() |
2011年イタリアのパヴィアで行われたヨーロピアン・リューケミア・ネット(ELN)のミーティングにて![]() |
2014年Japan MDS Patient Support Group主催のベネット先生の検鏡会にて![]() ベネット先生と緒方先生がそれぞれ顕微鏡をドライブして細胞の解説をしました ![]() |
2010年台湾の血液学会に招待された際のスナップ Mickel Loken先生、Arjan van de Loosdrecht先生と ![]() |
2010年ロンドンにて(ELN)![]() |